Claude Artifacts完全ガイド:ブラウザ内でReactアプリを即座に動かす技術解説
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Claude Artifacts完全ガイド:ブラウザ内でReactアプリを即座に動かす技術解説

2024年12月26日15分中級〜上級荻原健太

Claude Artifacts完全ガイド:ブラウザ内でReactアプリを即座に動かす技術解説

はじめに

Claude Artifactsは、Anthropicが提供するClaude AIの機能で、会話中にインタラクティブなコードを生成し、即座にブラウザ内で実行できる仕組みです。

単なるコードスニペットの生成とは異なり、Reactコンポーネント、データビジュアライゼーション、HTMLページなどがリアルタイムでレンダリングされます。本記事では、その技術的な仕組みと実践的な活用方法を解説します。

アーキテクチャ概要

実行環境

Artifactsは以下の技術スタックで動作しています:

┌─────────────────────────────────────────┐
│  Claude Chat Interface                   │
│  ┌─────────────────┬─────────────────┐  │
│  │   Chat Panel    │  Artifact Panel │  │
│  │                 │   ┌───────────┐ │  │
│  │  User: ...      │   │  iframe   │ │  │
│  │  Claude: ...    │   │ (sandbox) │ │  │
│  │                 │   └───────────┘ │  │
│  └─────────────────┴─────────────────┘  │
└─────────────────────────────────────────┘

生成されたコードはサンドボックス化されたiframe内で実行されます。これにより:

  • メインページのDOMへのアクセスを制限
  • 外部リソースへの通信を制御
  • ユーザーのセッション情報を保護

Analysis Tool(JavaScript実行環境)

2024年10月に追加された「Analysis Tool」は、Artifacts とは別の実行環境です:

// Analysis Tool の特徴
// - Web Worker内で実行される
// - console.log() でメインスレッドと通信
// - Artifactとは環境が分離されている

// ⚠️ 注意: Analysis ToolとArtifactは別環境
// Analysis Tool内のコードはArtifact内では動作しない

この点は混乱しやすいポイントです。Analysis Toolで作成したコードをArtifactに移植する場合は、環境の違いを考慮する必要があります。

サポートされるArtifactタイプ

1. React Components

最も強力なArtifactタイプ。Tailwind CSSと組み合わせて使用可能:

// Claudeに依頼する例
// 「Todoリストのコンポーネントを作成して」

import React, { useState } from 'react';

export default function TodoList() {
  const [todos, setTodos] = useState<string[]>([]);
  const [input, setInput] = useState('');

  const addTodo = () => {
    if (input.trim()) {
      setTodos([...todos, input]);
      setInput('');
    }
  };

  return (
    <div className="p-4 max-w-md mx-auto">
      <div className="flex gap-2 mb-4">
        <input
          value={input}
          onChange={(e) => setInput(e.target.value)}
          className="flex-1 border rounded px-3 py-2"
          placeholder="新しいタスク..."
        />
        <button
          onClick={addTodo}
          className="bg-blue-500 text-white px-4 py-2 rounded"
        >
          追加
        </button>
      </div>
      <ul className="space-y-2">
        {todos.map((todo, i) => (
          <li key={i} className="p-2 bg-gray-100 rounded">{todo}</li>
        ))}
      </ul>
    </div>
  );
}

2. データビジュアライゼーション

Rechartsなどのライブラリを使用したグラフ描画:

import { LineChart, Line, XAxis, YAxis, Tooltip, ResponsiveContainer } from 'recharts';

const data = [
  { month: '1月', users: 400 },
  { month: '2月', users: 600 },
  { month: '3月', users: 800 },
  // ...
];

export default function UserGrowthChart() {
  return (
    <ResponsiveContainer width="100%" height={300}>
      <LineChart data={data}>
        <XAxis dataKey="month" />
        <YAxis />
        <Tooltip />
        <Line type="monotone" dataKey="users" stroke="#3b82f6" />
      </LineChart>
    </ResponsiveContainer>
  );
}

3. SVG / HTMLドキュメント

静的なコンテンツも即座にプレビュー可能です。

実践的なワークフロー

イテレーティブな開発

Artifactsの真価は対話的な改善サイクルにあります:

ユーザー: 「シンプルなカウンターを作って」
Claude: [カウンターArtifactを生成]

ユーザー: 「ボタンをもっと大きくして、色を緑に」
Claude: [既存のArtifactを修正して再生成]

ユーザー: 「リセットボタンも追加して」
Claude: [機能を追加してArtifactを更新]

Claudeは会話のコンテキストを保持しているため、「前のやつ」「あれ」といった参照も理解できます。

共有と公開

完成したArtifactは「Publish」ボタンでURLを発行し、外部ホスティングなしで共有可能です:

https://claude.site/artifacts/xxxxx

⚠️ 注意点: 公開されたURLはそのバージョン固有です。後からArtifactを修正しても、既存の公開URLは更新されません。

制限事項と回避策

1. ファイルアップロードの制限

現時点では、Analysis Toolにアップロードできるファイルはテキスト形式のみです。バイナリファイル(画像など)は処理できません。

回避策: Base64エンコードした画像データを直接コードに埋め込む

2. パフォーマンス制限

重い処理はタイムアウトする可能性があります:

  • 大規模なデータセットの処理
  • 複雑なアニメーション
  • 無限ループを含むコード

回避策: データは事前に集約し、表示に必要な最小限のみArtifactに渡す

3. 外部ライブラリの制限

すべてのnpmパッケージが使えるわけではありません。主にサポートされているのは:

  • React関連(react, react-dom)
  • スタイリング(Tailwind CSS)
  • チャート(Recharts, Chart.js)
  • ユーティリティ(lodash, date-fns)

高度な活用例

プロトタイプからプロダクションへ

Artifactsで作成したコンポーネントは、そのままプロジェクトに組み込めます:

# Artifactのコードをコピーして保存
# src/components/GeneratedComponent.tsx

# 必要に応じて型定義を追加
# 外部依存を解決

AIアシスト開発のベストプラクティス

  1. 小さく始める: 最初は単一機能のコンポーネントから
  2. 段階的に拡張: 動作確認しながら機能追加
  3. コードレビュー: 生成されたコードは必ず確認
  4. 型安全性: TypeScriptの型を活用

まとめ

Claude Artifactsは、アイデアからプロトタイプまでの距離を劇的に短縮するツールです。

  • ブラウザ内で即座にコードが動く
  • 対話的な改善サイクルが可能
  • 共有・公開も簡単

ただし、プロダクション品質のコードを自動生成するものではありません。あくまで高速なプロトタイピングツールとして位置づけ、生成されたコードは適切にレビュー・リファクタリングして活用しましょう。


参考リンク

✍️ この記事を書いた人

荻原健太シニアフロントエンドエンジニア

フロントエンド開発歴10年。React/TypeScriptを中心に、AIを活用した開発効率化に取り組んでいます。技術の「なぜそう動くのか」を深掘りするのが好きです。

得意分野: React、TypeScript、Web API、AI駆動開発

モットー: 仕組みを理解すれば、応用が効く